何が起こったのかが読めず、
少し間を置いてしまったが、

「あ!」

伸治も部屋を飛び出したときには、

もうすでに、由衣の姿は見えず、
慌てて階段をかけ登ぼると…

その情景を見た伸治は、

“終わった…”と思うのだった。


何も無いなら慌てることは無い。

でも、この時の伸治は、
自分のために、
アンの存在を隠そうと必死しだったような…?

そして、由衣の突飛な行動。

互いに互いを呆れた末、
このまま別れ話になるものと覚悟した伸治は、
思いもよらぬ話の展開に、耳を疑った。


「アキラの次は伸ちゃん?!あたしから何もかも奪っていかないでよ!」


言ってる内容はともかく、

由衣にとって、今の伸治は、
それはそれは、魅力的に映っていたらしい。


なにしろ、
“自分の彼氏が、人気モデルから目をつけられている”と、
勝手に信じ込んでいるのだから…


まんざら違ってもいないのだが、
そんなことに、
まさか気がつくはずもない伸治をめぐり、

『自分がモデルと天秤にかけられている。』と、

ソコに酔いしれる由衣にとって、

モデルが相手では負けても仕方がない。

でも、

勝ち取れたなら、それはもう、
これ以上とないプロフィールとなることに違いないのだ。