「みちづれにするなよな。」

「あはは、そーだよね……」


なんとか、
由衣のことも、自分の気持ちも
口からコボレることは免れたアンだった。


そして、伸治は部屋へと戻って行く。

その間に、

由衣が来ていることなど知りもしないで…



ドアを開けると、部屋の灯りが漏れてくる。

確かに、
すぐに戻るつもりで、つけっ放しにして出て行ったのだが、

中まで進んで、伸治は驚いた。


「!っくりした〜!!」


由衣がベッドに座っていたのだ。


「なーに?!どーしたの?!!」

伸治は聞いた。

すると、

「どこに行ってたの?あれもこれも忘れっ放しでさ。」と、

携帯電話やライトを見て由衣は言う。


「え、ああ、上の階の人んとこに、ちょっと用事があって。」

「誰?あの、吉野って人?」

「あ、うん。そうそう。」

由衣の顔を見れずに、伸治がキッチンに向かって歩きだした、

その時…

「ウソ!」

「え?」


振り返る伸治に、由衣は言った。


「なんでウソつくの?」