コンビニラブ

「ん…」


吉野は引き寄せた由衣の唇に
軽くキスをしてみせた。


「!何すんのよっ!!」

「ふっ。何もないのに罪悪感にカラレてるんなら、キスぐらいしてても同じかなぁって。」

「信じられない!」

「これで言い訳も出来るだろ?どーゆー仲なのか、」

「ふざけないでよ!」

「俺に!無理矢理キスされたってことでさぁ!」

「!?」

「そーだなぁ…偶然エレベーターで一緒になって、その時にってのはどう?」

「…」

「で“だからあの人は嫌い”とでも言っとけよ。」

「それじゃあ、全部あなたが悪いみたいに」

「いいんだ…なんかさ〜、もう、うんざりなんだぁ。良い人ごっこ。」

「?」

「君の彼氏みたいな、本物にはかなわないし。」

「…自分だって、十分良い人だと思うけど。」

「でも、俺じゃダメなんだろ?なんで?」

「あなたはモテるでしょ?伸ちゃんは私を裏切らない。」

「散々、騒いでたのはどこのどいつだよ。」

「だから、今回でハッキリそれが分かったの。彼の誠実さが。」

「…そうですか。」



その翌日、
各報道メディアにファックスが届いた。

『当事務所モデルのアンは、同郷で先輩でもあるアキラ氏と、何でも相談できて信頼のおけるお付き合いをさせて頂いております。が、現在、世間で騒がれている関係ではないことを、ここに報告させて頂きます。』