コンビニラブ

そして、
なんの変化も進展も無いことを、確信したとき、
ふと、ため息がひとつ…


不満なのか?
ひと安心なのか?


自分でも分からずに、
複雑な気持ちでいた…そんな頃

事件は起きたのだった。



いつになく疲れて帰ってきた日、
吉野はシャワーではなく、湯ぶねに浸かっていた。


時折、軽く睡魔に襲われながら、
どのくらい浴室に居たのだろうか?


ぼ〜っとしたまま服を着て、
ひと段落していた時、
ドアの外で、人の声がすることに気がついた。


この階には部屋が3部屋あるが、
そのうちのひとつは、
オーナー家の物置き部屋となっているので、
話し声の一人がアンであることは間違いなかった。


(大家さんと話してんのかな?あ、伸治くんとか?)

なんとなく気になった吉野は、
そっとドアを開け覗き見て驚いた。


「何やってんの!!」


そして次の瞬間、慌てて飛び出していた。

そして、

何が何だか分からないまま、
アンから、その人物を遠ざけ、
自分の部屋へと引きずり込んだ。


パニックで、自分がとっさに何を言ったか覚えていないが、
ただひたすら、アンに向かって、
わざと、よそよそしく謝っていたことは自覚があった。

そう、
その相手の由衣に見せるために。