「うん。そんな気はしてた。」

「ごめん。あたし頭悪いから、言ってることがよく分からないや。」

「…最初から思ってたんだ。いずれココを出て行かなければならない俺が、今いる世界で可能性を秘めた君を、守り続けることなんかムリだって。」

「…」

「だから、深入りしすぎないように気を付けてたんだよ。知らなかったでしょ?」

「…なんなのそれ?」

「春がきたら…安心してここを出て行けることが…俺の唯一の望みなんだ。」

「!」

「叶うかなぁ?」

「ごめんなさい。あたし、全然気がつかなくて…」

「あはは。ここまで言えば、さすがに気付いたか…もう、今度は見過ごすなよ。」

「?」

「おやすみ。」

「あ、え?ちょっと!見過ごすって何のこと?!」


爽やかに気持ちを語るだけ語って、
さっさと戻って行く、吉野の部屋のドアを見つめながら、
もう一度、
言われたことを思い出してみるアン。


「あ!(伸治くんから、あのこと聞いたなぁ)そーか。(あの二人、なんでも語り合う仲だったの?)伸治のヤツ〜!!」