出された麦茶を一気飲みした由衣は、

「帰る!」

と立ち上がった。


「大丈夫?」

「考えてみれば、今、ここに居る意味が分からない。」

「なんでだろうね。」

「お邪魔しました!」

「また、いつでもどうぞ。」

「…」


由衣は玄関へと歩き始める。


「伸治くん、まだかなぁ?階段で下りて寄ってみたら?」

「あ、うん。」

「素直ぉ!この違いは何なんだ!?」

「るさい。…ありがと」


由衣は部屋を出て行った。


吉野は、
ゆっくりと、ドアに鍵をかけに近寄ると、
一度、
ドアを開けて、階段の方を見つめた。


そして、閉めかけた時だった…


「みーちゃった!」


ひょっこり、
ドアから顔を出すアン。


「初めて見た〜!吉野くんの家から、人が出て行くとこ!しかも女!」

「!いつから?!」

「ちょうど、下に買い物に行こうとしたら、おっと〜って感じ!」

「…」

「なに?」

「え!いや!」

「そーだよね!いないワケ無いよね、彼女!」