部屋に戻ると敦司の姿はなかった。
ここのところ働いていたり、そうでなければ麻雀ばかりしていたりと、
行動は二パターンくらいの繰り返しだった。
普段顔を合わせても会話はほとんどなかったが、
月に二・三度無言のまま美香を抱く。
それは泥酔した美香が洋服を脱ぎ散らかして、
下着姿のままベッドに身を投げ出して眠っている時に帰って来た日であったり、
単に仕事のない日、ゆっくりと眠って目覚めた朝だったり様々だったが、
美香はたとえ疲れていても決して抵抗はしなかった。

 理由は違ったとしても、同じだったからだ。
ひりつくように心が淋しい夜、美香は隣で眠る敦司の背中にしがみつく。
いつまでも離れないでいると、やがて敦司は向き直って美香を抱き締めた。
そのまま再び寝息をたてる日もあったが、大抵は抱いてくれる。