婦人科の病室に空きがなく、産科の二人部屋に運ばれていた。
授乳や消毒のためのお揃いのピンクの服、
オルゴールの音にのって運ばれてくる食事、
夜中に新生児室から聞こえてくる赤ちゃんの泣き声。

 泣かないで。お願いだからもう泣かないで・・・。
眠れない果てしない夜、本当に泣いているのかさえもうわからない。
もしかしたら泣き声なんて誰にも聞こえてはいないのかもしれない。
遠くから響き亘る赤ん坊の泣き声に、
美香は堅いベッドの上で蹲り、耳をふさいだ。