ホステスはみんな極若い女の子で、
学生だったり他に何か仕事を持っていたりするアルバイトばかりだ。
格好もそれぞれ自分たち好みの普段着のままだし、
こうしてマニキュアもプロにはやらせず自分で塗ってしまう。
当然給料はウェイトレスのそれにほんの少し色がついたほどのものだ。
でも気楽な分女の子たちの仲は、その場限りとは言え本当に良い。
専門学校に通う喜美恵などは、カラオケが歌い放題で歌の練習が客つきででき、
おこづかいまで手に入るこのアルバイトを、
何のこだわりもなく気に入っているようだ。

「それでね、夏までにメンバー全員十キロ落とせって言われちゃって・・。
酷いと思いません?もう信じらんない」
そんなふうに口をとがらせて甘えた声で話しかけてくる喜美恵のような子を、
美香は心から可愛いと思うし、自分と同じ二十一歳でも、
昼間看護学校に通っていたりOLとして毎日働いていたりする女の子たちのことも、
素直に尊敬し応援している。

店の中だけのかかわりではあるけれど、だからかもしれない。
美香はこの場所に居場所を求めていた。
浅い人間関係に安らぎを感じる程、心も体も疲れている?そうじゃない。
結局浅い人間関係にしか、誰も安らげないのだ。