待ち合わせのカフェにいたのは二十歳そこそこの巻髪にモテかわワンピの女の子だった。
私が入るとすぐ「本田です」と立ち上がった。
「お忙しい中すいません」と彼女はぎくしゃくしながら頭を下げた。
「で、なんですか?私は高谷さんとはただの友達なのよ」
「本当ですか」
彼女はきつい目で私を見た。
「本当よ。昔から知ってるの。」
「でもこないだの誕生日の次の日デートしてたでしょ」
「うん。」
「私、その日会いたいって前から言ってたんです。なのにあなたと会うからって」
「知りませんよ」私は馬鹿馬鹿しくなって腰を上げた。
「私、高谷さんはあなたが好きだと思うんです!」
彼女ははっきりと言った。「もう会わないでください!」
さすがに私もカチンときた。「あなたに言われる筋合いないわ」私は鞄を持ち立ち上がった。
「前に酔っ払った時、彼言ったんです。『ずっと片思いしてる子がいる』って」彼女は涙声だった。「プラトニックだからいいなんてずるすぎる!」