「昨日は奥さんと坊っちゃんとお祝いしたの?」グラスを置いて美香は尋ねた。「まさか。女房は仕事。息子は部活!さみしいもんだよ〜!」高谷は腕を顔に当てて泣き真似をした。
「うっそ。じゃあ昨日お祝いしたげてもよかったのに」
二人が出会った時、高谷は既に学生時代からの彼女とでき婚していた。一人息子は今年で中学一年になる。
「何言ってんの。週末は彼氏とデートだろ」
「まあね」
「もう一年ぐらいだろ?うまくいってんの?」
「まあまあ。」美香は前菜のカルパッチョを口に入れた。
「結婚しないの?」
「そのうちね。」
美香はそっけなく答えた。