美香は高校に入りたての頃、街でスカウトされ、読者モデルをしていた。大学出たての高谷はカメラマンの助手をしていた。
美香とモデルの友達と雑誌の編集者の四人は、意気投合し、よく遊びに行くようになった。
「あの頃、高谷さんよく怒られてたよねえ」美香は笑いながら言った。
「しかし、あの頃のみんな元気かなぁ」
「さぁ〜?」
ワインとグラスがきた。
「では」美香は改まった口調で言った。「お誕生日おめでとう!高谷さん」二人はグラスをぶつけた。
「昨日だけどな。ありがとう。」
「高谷さんいくつになったの?」
「三十五」嫌そうに高谷は答えた。
「見えないよねぇ。全然若いよ。」
高谷は短髪で細身の長身なので若く見える。
「美香だって二十七には見えないさ」