「はあ……」


吐いたため息はびっくりするほど大きく聞こえた。


キッチンに目をやれば、洗いかごには赤と青のマグ。


部屋のそこかしこに彼女の名残を見つけて、孤独を突きつけられる。


閉じ込められた空間に息が詰まって、ベランダに出る。


生ぬるい風を頬に受けながら鉄柵にもたれれば、明るすぎる夜景が目を焼く。


遠くを走る新幹線の光。


それは、彼女を連れて帰るもので。


もう一度ため息を吐いて目を閉じた。