ばたん、と鉄の扉が閉まる。


やけに大きく響く音に、自分がひとりなんだと思い知らされる。


彼女の乗ったタクシーが見えなくなるまで、部屋の前から見送った。


駅まで送るという申し出を、いつも笑顔で断る彼女。


『タクシー呼んだしね』


お決まりの台詞は、もう何度聞いただろう。


靴を脱いで上がれば、付けっぱなしのテレビがやかましい声を垂れ流している。


ソファに座って、ふたりならんで笑いながら見ていたバラエティ番組。


今はもう見る気にもなれなくて、リモコンのスイッチを押す。