探してみようか?

シェイドがブラドの頬に手を当てた。

そっと顔を寄せて唇を合わせて、強く離さなかった。

ブラドもそれを拒まなかった。

何故かと言われるとわからない。
強いて言うならば、拒む必要がなかった。


それが楽しい方向への道だから。



「…次逢う時には僕がお客さんになっても良いかな?」

「君が?」

「うん。」

「じゃあ安くしとくよ。15万でどうだい?」



今度こそ、からかうように笑ってみせた。
シェイドが苦笑で返しながら、頷く。



「良いよ、いくらでも。」



ブラドがニッと笑うとシェイドが寂しげに笑いながら霧に溶け込んでいった。
二人にもわからない。


杯は交わされるのか…


だが、自由気ままな二人の事だ。
いつか逢うかもしれない。
逢う可能性が万に一つでも、彼等はそれを楽しみにするだろう。
遠く離れた土地からこの深い霧を思い出しながら。


逢えない時にはこう思うだろう。