探してみようか?

時も過ぎ、もう少しすれば夜も明けるであろう。

ブラドはシェイドを連れて丘の上に来ていた。



「今日は残念ながら見れないけど、ここから見る朝日は綺麗なんだよ?僕が子供の頃よく来てたんだ。」

「へぇ…」

「またあった時には一緒に見れたら良いねぇ~」



霧が視界を覆っている丘の上で空が曇り気味なのを憎んだ。
もうそろそろシェイドは帰る時間だ。
ブラドも家に仕事を残している。



「ねぇ、手、繋いでもいいかな?」



照れくさそうにブラドが言った。
シェイドが笑いながら手を差し出した。
ブラドがそれを握り、満面の笑みで霧を切るように


空を仰いだ。



「僕等友達だよ?手、つないじゃったからね。次逢ったら月でも肴に一杯どうだい?ウチには酒豪が多いんだよ。紹介するさ。」

「良いね。その時は兄貴も連れてくよ。良い見世物になりそうだし。」

「僕は大体この辺にいつもいるから…」

「うん…」

「じゃ…」



もう逢えないのではないかとブラドは思った。

彼からは違う匂いがする。
彼を例えるならば蝶だ。
違うところで、自分じゃない匂いに鼻をつかれて忘れてしまうのではないだろうかと…
彼は自由だから。



それはシェイドも思っていた事だった。