だけど、突然に僕のジャケットが引っ張られた。 内心、驚いたが それもいい、と思った。 「あの……お名前は……」 引っかかった。 「玲、と申します」 「玲さん……」 「はい」 そうして、僕は香水店を出た。 心の中は、充分な満足感で溢れていた。 彼女はもう、僕に堕ちている。 こんなに楽な獲物は今までいなかった。