街まで行くと、一際賑わっている店があった。


香水店だ。


僕は眉をしかめて、本当にこんなところにお嬢様が来るのだろうかと思いながら、香水店に入っていった。



そして、案の定見つけた。


人に押し返され、今にも埋もれてしまいそうな彼女が。



今までの女の人間とは少し違った。


今までの女の人間は、とにかく気取っていた。


高い服を着て、化粧も厚い。
とにかく無駄なプライドが高かった。


連れて歩く男でランクを決める女もいた。



今度のお嬢様は、どうかと思ったら。


お嬢様なら、召使いにでもさせればよいものを。



僕は思っていることとは裏腹に、穏やかな表情をして彼女に近づいた。



彼女の背後に上手く立つと、人並みに押し返された彼女がいきなり僕の胸に当たってきた。


そのことに気付くと彼女はすぐに振り返って、慌ただしく言った。



「すいませ……」



と、彼女の台詞がとまった。


彼女と目があったとき、僕はもしかしたらもうバレているのではないかと思った。