父は頷き、ぽんぽんと母の背中を叩く。



「もし……憂がもう一度帰ってきてくれるなら……私……っ」


「……そのときは何もなかったように迎え入れよう。


だが、もうそんな必要はないと思うよ」



もう、憂が二度と帰ってこないことを二人は理解していた。


母は泣きながら言った。



「どうか……


どうか願わくは、
憂が永遠に幸せであるように……」



夜が、明けようとしていた。




* * *