「お母様……」



そのとたん、頭が割れそうなくらいの頭痛が私を襲った。


私は上半身も支えることができなくなって

体を横にした。



「憂!」



母は、すぐに私のところへ駆けつけて心配そうな顔で私を見る。



「大丈夫?」



ぼやけていく景色の中で私は母に問う。



「……何かが違うんです。


 私、何か大事なことを忘れてる気がする……

 でも、それが何か想い出せなくて……」



母は、言い続ける私を止めて



「今は、ゆっくり休みなさい」



と言った。


そんなこと、している場合じゃないの。


何かが、私の中から消えようとしているの。


大事な、

大事な何かが。