薔薇の欠片



「日の光を独り占めにする人間が憎い。

 自分を吸血鬼にした神が憎い」



私は彼の方に向き直った。


泣きそうな、苦しいような、そんな顔。



「そんな奴らばかりなのに彼だけは違った。

 人間を愛してしまった」



私は何も言わずに彼をただ黙ってじっと見る。



「彼は人間と同じ場所へ行きたいと言っていた。
そして、人間を照らす日の光を見てみたい、とも言った。

僕はやめろと言った。

だけど、彼は聞かなかった。


それどころか、その人間は彼をさらに追い詰めた。

『本当に私のことがすきなの?』と。


そして、彼は日の光に当たりに行った」



私は玲さんの話を聞いて、

ひとつ納得できないところがある。



「どうして、彼は日の光に当たる必要があったんですか?」



彼は決まりの悪そうな顔をして言った。



「すいません。
 今はまだ言えません」



それを、
いつかは言ってくれると私は信じてる。