「大丈夫」



そう言って、彼は私の額に軽くキスをした。



「恐いものの後に待っているのは、美しい世界です」



そう言った彼の言葉が気になって。

だけど、訊くことなんてできなくて。


私は彼の服の裾を軽くつかんだ。


彼はその森の奥に進んでいく。

私も彼の後について進んだ。



「もうすぐだ」



そう嬉しそうに言う彼の背中に私は飛びついた。


彼は、歩みを止めて
振り返って私を見た。



「憂さん……?」

「恐い……」



彼は私の方を振り向いた。



「大丈夫
 僕が守りますから」



彼の台詞が嬉しくて、
少しでも前に歩けそうな気がした。



「ごめんなさい。
 少しわがまま言いました」



恐いものの先に、
美しいものがあるのなら、