街の空はどんよりと曇っていた。


雨が降りそうだ、

と思い早めに買って帰ろうと思ったも、



香水店へ入ってみると、案の定人が多くて混雑していた。


新作の、しかも限定品となると、客がこうも多いのは頷ける。



女性だけじゃなく、
男性もいるのはやはりその香水がよっぽど貴重なものだと、示しているようなものだ。


私はそれでもその香水が欲しくて人の波のなかに入ろうとするが
簡単に押し出される。


何度も挑戦するが、
挑戦するたびにつき返される強さが強くなっている気がするのは気のせいだろうか。


何度目かの挑戦でもやっぱりつき返されて、尻餅をつきそうになったとき、


誰かの体に当たってしまった。



私は振り返って、謝ろうとした。



「すいませ……」



ちょうど目が合ったとき、夢と現実が重なった。