雨が降る、ということで人通りもだいぶ少ない。
玲さんは黒い傘をさして、私と彼が入るようにした。
「雨の日って、憂さんは出歩かないでしょう?」
「はい」
私は頷いて、街の様子を見た。
「だけど、たまにはいいでしょう?」
ぽつぽつと振る雨に点々と灯りだした光が幻想的に霞んでいて美しいと思った。
街の景色に見とれている私を見て、彼はぽつりと呟いた。
「純粋な人なんですね……」
私は彼のほうを振り向き、首をかしげる。
彼は首を振り、なんでもない、という顔をした。
その街は、いつもの街とは違って
少しだけ大人な雰囲気がした。
何より彼と一緒にいれたことが嬉しかった。
そして、私は決心した。