薔薇の欠片




僕がそう言うと、

彼女は不思議そうな顔をして言った。




「玲、さん……」




僕は人差し指で彼女の口を止める。




「そうじゃなくて……」




彼女は気がついたらしい。


そのとたん、

幸せそうに笑った。




その笑顔をずっと見ていたいと思ったから。


守りたいと思ったから。