その声に気づいたのか、 彼はそっと目を開けた。 そしてゆっくりと顔を上げて 放心したままの状態で彼は呟いた。 「……憂?」 そう呼ばれた私は 途端に彼のもとへ抱きついた。 胸が締め付けられて 愛情が込み上げてくる。 「私、ずっと……」 涙が溢れて、今にも零れだしそうになる。 彼は手をだらんとしたまま 私をじっと見つめていた。 何も話さない玲さんを見て 不思議に思った私は彼を呼ぶ。 「玲さん……」 「……」 「玲さん……?」