僕は背を向けて飛び立った。 彼女をさらったときから、 この気持ちはあったと思うから。 彼女は目を覚ましたら、 あの男と婚約するのだろうか? ……そうなれば、 彼女はきっと幸せになれる。 洋館に着いた僕は玄関のドアを閉めると、 そのまま動けなかった。 何だ? また、雫が零れる。 彼女……憂が、 あの男と結婚するのか? あの男の隣で幸せそうに笑って、 キスして、 抱き合って、 そのうち 子供ができて。 そうして、 彼女は永遠の幸せを手にするのだろうか。