薔薇の欠片




……どうして。




僕を拒絶すればいいのに。


逃げればいいのに。



それなのに、


何故自ら死に急ぐようなことを言うんだ。




彼女はそっと目を閉じた。



僕は、彼女を殺すのか……




そう思ったとき、

僕は彼女の唇にキスを落としていた。



その感覚に気づいた彼女は目を開けた。




それと同時に、

彼女の瞳から零れる涙。



ぽろぽろと彼女は涙を零していた。




胸が苦しい。


締め付けられる。



呼吸ができなくなる。




何故、


彼女は涙を零しているのに

笑えるんだ?


微笑むことができるんだ?




「……やめろ」