薔薇の欠片



だけど、彼女がそうはさせなかった。


僕が窓に手をかけたとき、

彼女が急に僕を後ろから抱きついた。



「え……」



僕は彼女に聞こえないくらい小さな声で言葉をこぼしていた。


彼女はしがみつくような声で言った。



「ダメ、離れないで……ください」



何を……言ってるんだ?