「とりあえず部屋に入ってください、外は冷えます!」
僕がそう思っていると、彼女は僕の服を引っ張って部屋の中へ入れた。
さらに僕の頭の中が混乱する。
「僕のような部外者を簡単に入れてしまっていいんですか?」
おかしいんじゃないか。
どうして僕を簡単に部屋の中へ入れる?
彼女は首を横に振っていた。
彼女の瞳は強かった。
「貴方は部外者ではありません」
このお嬢様は本当に馬鹿だ。
いつかは僕に裏切られるのに。
こんな人間、はじめてだ。
僕は彼女の頭をなでた。
「嬉しいな」
彼女は口をぎゅーっと結んでいた。
……馬鹿だな、本当。

