吸血鬼だから。
僕は言った。
「大丈夫ですよ、こうみえても身軽なんです」
彼女は心配そうな顔で訊ねた。
「そうなんですか?」
僕はそう言われると頷いた。
そして、また一言訊ねる。
「それよりも、何故こんな時間に、こんな場所に?」
僕は“そのまま”を言った。
「会いたかったから、来ました」
……貴方をもらうために。
僕の言葉を聞いた彼女は、一気に顔が赤くなっていく。
その姿に呆気とられた。
……なんで、そんなに素直に喜べるんだよ。
少しは疑えよ。
お嬢様なんだから警戒しろよ。
そんな顔、するなよ。

