「雪月は、まだあんな馬鹿な悪戯続けてんのかい?」







氷雨が呆れたように言った。







「どうしたもんかねぇ。」







凪雛は、煙管盆に、煙管を叩きつけた。







「凪雛だって分かってんだろ?雪月は、まだ風鈴の事を引きずっているって。」








氷雨の言葉に、三人の表情が凍りついた。








風鈴 フウリン。







雪月を、愛し・・・






夢を与え・・・







命がけで守った遊女。








そして、人の世の儚さを教え・・・







雪月の届かない空へと、逝ってしまった遊女。









風鈴の死から、もう二年という歳月が経とうとしているのだ。