「尚五郎さんに出会えて良かった・・・」







そう言って、近づいて尚五郎の手を包んだ。







「地天神、水火木神、加えて雪の神よ。汝に幸を与えておくんなし。ここに雪月がお頼み申しんす。」







「俺の幸せを・・・祈ってくれるのか?」







「わっちはいつも、尚五郎さんの幸せを祈っています。」







「そうか・・・雪月には、夢があるんだろう?」








「わっちは、地獄で強く美しく生きる、花魁という華になりんす。」







「それが・・・わっちの夢でありんす。」






尚五郎は悲しそうに微笑み、雪月の手を取って、背を向けた。







「俺も、雪月に出会えて良かったよ。」








紅葉が儚く、ひらひらと散った。







風鈴と別れて、3年になろう・・・秋の終りだった。