雪月は、しばらく碁盤を見つめた後、大あくびをしている凪雛に目を向けた。






「わざと負けんしたね。」






「ん?」






「凪雛姐さん、わっちにわざと負けんしたでしょう。」







凪雛は、窓辺によりかかった。






「そうだ。」






「なんで?」






少し怒りを含んだ、声で雪月が問い詰めると、凪雛は雪月を見て言った。






「業だ。」







「わざと負けて、下手に出るっていうんもわっちらの業さね。」







「業・・・・・・」







雪月は、凪雛の言葉を復唱した。