カツンッカツンッ






軽やかな音が響く、ここ。







凪雛の座敷。







ある昼下がり、凪雛と雪月は碁盤を挟み、向かい合った。






碁に加え、将棋・和歌・学問を習った、雪月の師匠。







毎度敗北を喫している雪月は、今度こそ・・・






と、執心を燃やしていた。






カツンッ





「あれ?」






「詰んだね。おめでとう。アンタの勝ちだよ、雪月。」







凪雛は、何気ない口調で言った。







凪雛の言う通り、碁盤を制したのは、雪月だった。