雪月は、尚五郎の手をいっそう強く握った。







「尚五郎さん、辛そうだったから・・・」








「心の傷が早く良くなりますように、おまじないです。」







雪月は、優しい笑顔で微笑んだ。








「・・・・・う・・・」







「はい?なんでしょう??」







「ありがとう・・・」







か細い声だったが、雪月の瞳を見て答えた。








「いえ、ワタクシは尚五郎さんの幸せを望んでいます。」







雪月がそう言うと、尚五郎はスクッと立ち上がった。






「お帰りですか?だったら・・・」








「見送りはいい。」