尚五郎は、雪月の顔を見て静かに話しだした。







「もともとはこういう性格なんだ。」








「父親が医者ということもあって・・・人と話さざる得なかった。いつのまにか、自分を隠すことを覚えた。」








「母親が、死んでからだ。」








ぶっきらぼうに、話を切った。








雪月は、そんな尚五郎を切なげに見つめた。








「地天神 チテンシン、水火木神 スイカモクシン、加えて雪の神よ。汝の心の傷を早く直しておくんなし。ここに雪月がお頼み申しんす。」








雪月は、尚五郎の手を包んで言った。







「それは・・・?」






尚五郎が、聞くと雪月は笑って答えた。






「美楼閣の遊女で伝わる、おまじないでありんす。」