「くそっ・・・」







尚五郎は、呟いた。







碁が厳しかったら将棋。







それも無理だったら、和歌。







次は学問で勝負したが、尚五郎が雪月を上回ることはなかった。








勝負の後、いつも言われる言葉。







『尚五郎さん、わっちには敵いんせん。』







不敵な笑みをたたえた、廓言葉で・・・







結局尚五郎が一番競り合った、碁で勝負することとなったのだ。







「尚五郎さん?」







そう言って、心配そうな顔で覗き込んでくる。







そんな顔に少し可愛いな、と思っている。