「失礼致しました。」







そう言って深々と頭を下げた。







尚五郎は言葉も出ない。








「勝負を致しましょう。尚五郎様は、碁がお好きでよく嗜まれるとか・・・」









「ワタクシも、腕には自信がございます。何もせずに、時は過ぎるのは勿体のうございます。」








チラリと伏せ目で、尚五郎を見据えた。







「お気づきでしょうが、勝負は碁だけではございません。貴方がワタクシに堕ちるか・・・ワタクシが貴方に堕ちるか・・・」









「どっちでありんしょう?」








不敵にも、敵に勝負をかける雪月。








静かに頷く尚五郎は、異様な雰囲気を感じ取り、また・・・








雪月の罠に、まんまとはまってしまった。