10センチ彼氏

「もう気にしなくていいから、本当に」

由美子先生は洟をすすると、
「ありがとう」

お礼を言った。

「私、君博さんの声が聞けてよかった」

「僕も嬉しいよ」

君博さんが微笑んだ。

「由美子ちゃん、僕以外の人と幸せになってね」

その言葉に、わたしの涙は止まった。

えっ?

「由美子ちゃんには、僕以上にいい人が見つかるよ。

僕はもう大丈夫だから」

それって、わたしを選んだってことなの?

婚約者の由美子先生よりも、わたしを選んでくれたの?