由美子先生に、君博さんのことを伝えた。

君博さんが会うと言った時、由美子先生は悲しそうな笑顔を見せた。

悲しそうな笑顔を見せた後で、彼女は言った。

「直接顔を見て話すのは、できないかも知れない」

会いたくない――それが、由美子先生の正直な気持ちだと思った。

自分が傷つけた相手と会って顔を見て話すことは、わたしもできないと思う。

わたしが何も言わないでいると、由美子先生がポケットから小さな紙を出した。

「――番号、変わってないから」

そう言って由美子先生はわたしに紙を渡した。

それを見ると、携帯電話の番号が書いてあった。

ボールペンで書いてあるその番号は、にじんでいた。