泣かないって決めたのに…。

君博さんが決めたことだから泣かないって決めたのに…。

わたし、こんなにも弱い性格だったんだな。

「――そうですか。

明日、由美子先生に話します…」

言い終わったのと同時に、わたしはトイレに駆け込んだ。

ドアを閉めたとたん、どっと涙がこぼれた。

君博さんに心配かけないように、声を押し殺して泣いた。

失恋した時とは違う。

直接別れを言われた訳じゃない。

なのに、涙は激しいくらいの勢いで流れ出した。

わたしが君博さんを愛していたから。

小さな君博さんを、精いっぱい愛していたから。

わたしって、どうしてかなわない恋ばっかりするんだろう…?

涙が止まるまで、わたしは泣き続けた。

君博さんと過ごした日々を思い出しながら、わたしは泣いた。