「――そうだったんだ…」

話を聞いた君博さんが言った。

わたしは首を縦に振ってうなずくことしかできなかった。

「由美子ちゃんが小雪ちゃんの先生だったなんてね」

「今まで隠してて、ごめんなさい」

「小雪ちゃんは悪くないよ」

君博さんの優しさに、涙が出そうになった。

由美子先生も、こうして何度も君博さんの優しさに触れてきたんだろうな。

「――どうしますか…?」

たった一言聞くだけなのに、間があったのは何故だろう。

君博さんが目を伏せたその様子から、悩んでいるのだと思った。

わたしか由美子先生か――君博さんからして見れば、どっちも愛してる人なんだもん。

わたしが君博さんの立場でも悩んじゃうよ。

それからどれだけの時間、お互い黙ってたのかな?

「――会うよ」

ポツリと、君博さんが言った。

「由美子ちゃんに会うよ」

その答えに、わたしは涙が出そうになった。