言われてつらかったのだろう。

優しい君博さんは傷ついたのだろう。

そう思うと、わたしまで涙が出そうになった。

「君博さんは、何も言わなかった。

何も言わないで、私の前を去った。

その時に、私は君博さんを傷つけたことに気づいた。

気づいた後で、私は泣いた」

由美子先生はまた洟をすすった。

「何てことを言ったんだろうと思った。

すぐに謝るつもりだった…けど翌日に、君博さんの家に行ったんだけど彼はいなかった。

電話しても繋がらなかった」

痩せたような小さな肩を、由美子先生は震わせた。