10センチ彼氏

知りあいに同じ人がいるなんて言っても、信じてもらえないかも知れないのに…。

ウソだって言われるのがオチなのに…。

痛いくらいの静かな沈黙がわたしたちを包み込んだ。

それを破るように、由美子先生が唇を開いた。

「君博さん、何て言ってたの?」

そっと、壊れ物を扱うような優しい口調だった。

「私のこと、何て言ってたの?」

「それは、わかりません…。

まだ話してませんので…」

そう言ったわたしに、由美子先生は悲しそうに表情をゆがませた。