答えはわかっているのに、何で言ってしまったのだろう?

わたしにもよくわからない。

「小雪ちゃん」

こんなにも近いところにいるのに…。

存在がわかるくらい、近い距離なのに…。

心が“もっとそばにきて”って、叫んでる。

わたしって、こんなにも欲張りな性格だったんだ。

これだけ近くにいるのに、まだ足りないだなんて…。

「離れないからね?」

君博さんが言った。

わかってるよ…。

それくらい、わかってるよ…。

わたしには、君博さんしかいないもん。

君博さんしかいらないもん。

「大好きだよ、小雪ちゃん」

「わたしも、大好き」

けど、この時くらいは悪い方の予感がすでに近づいてたことに気づけばよかった。