同じ女なのに、わたしは思わず見とれてしまった。

教壇に立ったその人が微笑んだ瞬間、そこだけ花が咲いたように急に華やかになった。

「初めまして、今日から赴任してきました渡部由美子(ワタベユミコ)と申します」

ソプラノの声で、由美子先生が自己紹介をした。

結構いい先生かもと、わたしは彼女にそんな印象を感じた。

けどどこかでは、悪い方の予感も感じていたのかも知れない。


「そんなにキレイな人なんだ」

君博さんが言った。

「うん、モデルさんみたいだった」

「へえ」

わたしの話に返事をしている君博さんだけど、わたしは心配になった。

「ほれないでくださいよ?」

ポツリと、わたしは呟くように言った。

「何で急に…」

少しだけ動揺する君博さんに、1番驚いているのはわたしの方だった。