「小雪ちゃん?」

恐る恐ると言った様子で、君博さんがわたしを呼んだ。

呼ばれたわたしは不機嫌で、テーブルのうえに突っ伏していた。

「何があったの?」

「何にもないですよ」

自分でもわかるほど、その声は不機嫌だった。

「小雪ちゃん」

ツンツンと、わたしの服を引っ張る君博さんに視線を向けた。

また、ほれてしまった…。

だって、反則だよ!

心配してるって言いたそうな甘い顔は反則過ぎる!

不機嫌な自分がどこかへ飛んで行ってしまった。

もっと見ていたい!

そう思いながら、わたしは君博さんを見つめた。