「そ、そうですね」

わたしは返事をした。

早く言わないと!

「あのね、大森くん」

「もしよかったらですけど…」

ズボンのポケットから、大森くんは何かを出してきた。

は、話をさせてよー!

わたしの前に差し出されたのは、映画のチケットだった。

「映画の試写会のチケットなんですけど、どうですか?」

大森くんが笑顔を見せた。

「あー…でも、少しだけ考える時間をもらってもよろしいですか?」

わたしは言った。

「考えるお時間?」

「はい」

大森くんは少し考えると、
「わかりました、お返事を待ってます」
と、微笑みながら言った。

よかったと、わたしはホッと胸をなで下ろした。