10センチ彼氏

ま、マズいよ…。

大森くん、とんでもない勘違いをしてるよ…。

やっぱり素直に、「彼氏がいますから」って言えばよかった…。

あんな曖昧な返事をしたわたしもわたしである。

こうなれば、自分の口から本当のことを話すしかない!

元はと言えば、全部わたしのせいなんだ!

よし、行くぞ!


昼休み、わたしは大森くんと待ちあわせた屋上を訪ねた。

「お待ちしてましたよ」

大森くんが微笑んで迎えてくれた。

「あの…」

「お昼食べましたか?」

話そうとしたらさえぎられてしまった。

「ええ、食べました」

でもめげません!

次こそは、
「今日はいいお天気ですね」

またさえぎられてしまった。